被保険者賞与支払届とは
賞与を支払った後に提出しないといけない届出のこと。
スズキのように一人会社でも「役員賞与」として毎月の「役員報酬」とは別で設定することができる。この「役員賞与」は、従業員の賞与と異なり、期初に金額を規定しないと損金算入ができなくなる。期中に金額を変更できたら会社の利益操作ができてしまうので当たり前ではあるが。
期初に行う手続きは「事前確定届出給与」の提出だ。どの役員にどの金額をいつに払うかを申告する。
そして、賞与の支払い後5日以内に行わないといけないのは被保険者賞与支払届の提出だ。今回はこの被保険者賞与支払届をオンラインで行った。
そもそも役員賞与はお得なのか?
結論からいうとお得になりえる。条件さえ満たせば。だ。
スズキのように一人の会社でも「役員賞与」として毎月の「役員報酬」とは別で設定することができる。この「役員賞与」は事前に手続きをするとすべて損金算入ができ且つ役員報酬と同じ率の社会保険をしはらう必要がある(ここまでは普通)。しかし、この社会保険なのだが、賞与の金額に上限が定められている。つまり、その上限を超える賞与を支払う場合、上限を超えた分には社会保険料が発生しない=お得になる。
・健康保険料 …573万円(年度合計)
・厚生年金保険料 …150万円(1回)
あくまで例になるが、年1回の役員賞与で1000万円支給することにした場合(2020年東京の場合)
・健康保険料:上限573万円×保険料率9.87%=565,551円
・厚生年金:上限150万×保険料率18.3%=274,500円
同じ1000万円を役員報酬で支給する場合、ざっくり月額840,000円(1000万円÷12か月)で、
・健康保険料 月81,921円×12か月=年間 983,052円
・厚生年金 月113,460円×12か月=年間 1,361,520円
であり、年間計1,504,521円(=役員報酬の場合2,344,572円-役員賞与の場合840,051円)保険料が安くなるということだ。
つまり同じ1000万円を支給するなら役員賞与を厚くしたほうがお得ではある。
ただ、前述のとおり、役員賞与を全額損金算入する場合には事前の申請+申請通りの支払いが必要になるので自己責任で。
※注意
役員報酬にも保険料の上限があるし、そもそも役員報酬が0円で役員賞与が1000万円は認められないと思われる。イメージがわきやすいように簡単にした例である。実際に行いたい場合には税理士さんに相談し、ちゃんと計算することを強くお勧めする。
被保険者賞与支払届をオンラインで申請する
さて、実際の手順だ。大まかにいうと以下のとおり。
- GビズID取得(郵送での申請になるので余裕をもって手続きすること)
- 届書作成プログラムのインストール
- 届書作成プログラムにて各種情報(従業員情報+申請情報)を登録する
- 届書作成プログラム電子申請用ファイルを作成する
- 届書作成プログラムにて申請(申請ボタンをクリックするとGビズIDが求められる)
- 処理状況がメールで送られてくるので届書作成プログラムにてファイルをダウンロード
すでに1回でも届書作成プログラム+GビズIDで申請したことがある人は、4~6のみでOKとなる。非常に簡単だ。
ちなみにスズキは算定基礎届を電子申請したことがあるため4~6の作業のみで終了した。4~6も算定基礎届とほとんど同じなのでよければ以下を参考にしてほしい。
まとめ
被保険者賞与支払届をオンラインで申請するのは非常に便利だ。最初に行うときは、わかりづらいこともありスズキは結構な時間がかかったが、他の申請を1度でもすればあとは楽ちんだ。とりあえずGビズIDの取得を強くをお勧めする。
そして、役員賞与は保険料を考えるとメリットは大きいと言える。特に個人会社の場合は自身の会社で企業分・個人分両方の負担をする印象があるので、サラリーマンと比較するとお得感はあると思う。ただ、条件はあるので税理士さんと相談の上、実行してみてほしい。
おまけ 2020年11月 詳細手順版
再度自分で申請したところ思った以上にわかりづらかったので詳しい手順を再度まとめてみた。
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